2016-04-17

今日のNHKのドキュメンタリー『老人漂流社会』をみていたら、なんだか気持ちが落ち込んでしまった。今日の番組タイトルは『団塊世代、しのび寄る老後破産』であった。このところ、自分は「老後破産」という言葉に敏感で、そのような番組や本の記事は熱心に見てしまう。

団塊の世代は現在、20%が親の世代と同居している。また49%が子供の世代と同居している。その場合は団塊の世代が親と子供の両方の世代の面倒をみる例が多くて大きな負担を強いられていると報告されている。そのような例を3つほど番組では紹介していた。

最初の例は埼玉に住む69才の男性に住む川口さんであった。彼には  39才の息子がいて無職だそうだ。彼の年金14万円でそれらの家族の面倒をみている。川口さんは血圧が高い状態で医療費もかかる。むかしは大手運送会社で働いていて一時期は 年収が1000万円越したとこもあった。今は預金がほとんどなくなっている。

川口さんの仕事は介護施設の運転手だ。もう一年で契約は切れるという。息子とは2カ月にいちど電話で連絡をとりあう。川口さんにとっては、母も子供も両方とも大切である。 母親は介護施設に預けてあるが、 母に月に一度会いに行くそうだ。ただ介護施設は横浜にあるので、埼玉からは交通費がかかる、それが痛手になるそうだ。若い頃はこのように財政的にくるしくなるとは全然予想がつかず、どんでん返しだと感じるそうだ。

二つ目の例は一見すると豊かに見える夫婦の例だった。夫婦の年金で24万、夫の仕事で13万はいる。合計で 37万円の収入だ。しかし、この金額で 87才の認知症を患っている母と息子と孫2人を見ている。息子のつかささんが最近子供二人を連れて戻ってきている。息子さんは最近、葬儀社に花をおろす仕事を始めたばかりで収入はまだない。夫婦は、36歳の息子とそのこども二人の面倒を見ている。食べ盛りの孫に食費も大変かかる。

母の年金3万があるがそれでは足りない。家を広げるために改築をしてそのローンとして、毎月9万円を払わなければならない。現在は預金は200万だけだという。そんなことで、葬儀場で仕出しの仕事を今もしている。若い頃のように体力がないのがつらいとこぼしていた。

三番目の例は青山さんである。青山さんは91歳の母の介護をしている。現時点で2000万円の預金があるが、 年金8万円なので、預金を少しずつ取り崩している。将来が不安なので、食費は1日に500円におさえているそうだ。母親は自営業だったので年金なしだそうだ。

母のために訪問介護のサービスと デイサービスを受けているが、母の介護のため青山さんが外で働くにいくことは不可能である。将来のことを考えると、これ以上やっていけなくなったら自殺を、と考えたりもするそうだ。

この3つの例は見ていると気持ちが落ち込んでしまう。自分も同じような不安に直面しているのだ。さて、番組では放送大学の教授とみずほの研究所の研究員がコメントしていた。団塊の世代は家族の最後のとりでであること、ゆたかな世代ではなくて格差社会であること、を述べていた。

そして、老後破産を防ぐには、社会で支えあうようにして、団塊世代の負担を減らすことが必要と述べていた。しかし、これは社会保障費の増大に政府が悲鳴を上げて、家庭で介護をしてくれと政策転換をしている現状なので、難しいのではと思った。

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