YouTubeで三田明『僕のそばには君がいる』を聴いてみた。久しぶりである。自分にはこの曲に思い入れがある。中学生の頃、クラスのある女の子が好きであった。中学生であるから、その恋心をどのように具体的に実行すればいいのか分からなかった。

できることは、三田明のこの曲『僕のそばには君がいる』を聴いて恋心を紛らわすことであった。もう一つ、西郷輝彦『星のフラメンコ』という曲も流行って、この2曲を聴いては、毎日、その女の子のことを考えていた。

その頃は、レコードはドーナツ盤であり、レコードプレヤーに静かにのせて、針を下ろして聴くのであった。まだ中学生であるから、何をどうすればいいのか分からなかった。

中学を卒業して数年後、ある友人にお願いして、彼女の家に電話してもらった。そして、私の恋心を伝えてもらった。「できたら、交際したい」というメッセージを伝えてもらったのだ。友人は夜に公衆電話ボックスから電話をした。私は電話ボックスの外でドキドキしながら待っていた。自宅では家の人に聞かれるので、公衆電話を利用したのだ。

10分ほど友人が電話していた。その後、友人が電話を切って、公衆電話から出てきた。友人は首を振って何も言わなかった。「ダメだった」ということはその様子で分かった。そして何も言わなかった。

その後も、その友人はそのことに関して何も言わなかった。おそらく、私に関して相当ひどいことを言われたのだと推測する。友人は私に気の毒で、その内容を伝えられなかったのだろう。

女の子からすると、突然、数年前のクラスの同級生の友人から電話がかかってきて、「交際したい」という伝言をもらったとしても戸惑うだけだろう。やり方が非常に野暮である。

交際したいという希望は叶わなかったが、でも、自分のモヤモヤした気持ちがふっきれたのは事実だ。それ以降は、その女の子のことを思うこともなくなった。三田明の『僕のそばには君がいる』を聴くこともなくなった。そのドーナツ盤のレコードも何回は引越しをするうちになくなってしまった。

でも、最近はYouTube という便利なものが利用できるようになった。三田明のこの曲も聴けるのである。ふと、中学時代を思い出し聴いてみた。

(YouTube の動画を貼っていたが、元の動画が消えてしまったので、削除する。)

この曲は中学生の頃の懐かしい思い出だ。その女の子は、むかし、変な電話がかかってきて、交際を申し込まれたが、と思い出すこともあるのか。

クラス会があれば、参加してみたい気もするが、その女の子も70歳に近いのだと思うとギョッとする。今、会えば、その事件も笑い話になると思うのだが、クラス会はないようだ。

さて、映像の中での三田明は永遠に若い。ネットで調べると自宅が火事になり、顔にやけどをしたそうだ。歌手として成功して順風満帆の人生かと思えば、人それぞれは不運もあったようだ。