知人の女性と電話で話をすることがあった。仕事のことで話をしてたのだが、ふと一般的な世間話もしてしまった。その女性は独身で職場まで電車を乗り継いで、片道2時間半ほどかけて通勤する。満員電車を乗り継ぐので滅多に座れない。かなり疲れることだと思う。

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帰りは毎日だいたい9時頃だと言う。外食はしないで自分で食事を作るのだ。女性だとやはり一人で食堂に入りづらいのか。男性サラリーマン用には、吉野家、松屋などたくさんの安食堂があるのだが。やはり諸事情で女性は自宅で自炊という人が多いようだ。

その女性は50代の後半だ。若い頃は可愛らしい顔をしていたが、長年の生活の労苦が彼女の顔に刻み込まれてしまった。母親の介護もあり、休日は施設に行って母親の介護を行っている。

幾つかの重荷を背負いながら、自分の体力を120%稼働させながら働いている様を見ると、「偉いな」と思うと同時に「いつかポキンと折れるのでは」と心配もする。

その女性は年金の心配もされていた。若い頃はパートの仕事ばかりで、十分に年金をかけていなかったようだ。だれでも、若い頃はその時の問題にかかりきりになり、老後のことまでは考えは及ばないものだ。でも、老後は必ず迫ってくる。あんなに可愛らしかった女性が、今は目前に迫った退職後の不安をつぶやくなんて、時間の女神とは残酷なものだと思う。

自分は幾つか転職をしたが、最初の仕事を除いては通勤には比較的恵まれていた。今の仕事も前の仕事も歩いていける距離にある。適度の歩きで職場に行けるので、これがよかった。歩きのおかげで健康にもなるし、時間的な節約にもなる。

なぜ人は職場近くに住まないのか。それは、人は自宅から通おうとするので通勤時間が長大になるのだ。知人女性もなまじっか自宅があるので、そこから離れるわけにはいかなかったのだ。

その知人女性とは結構、長々と話をした。家内がたまたま居なかったので、長い時間の話となったが、これが家内が居たら短時間で用件だけ済ませての会話になったろう。