2015-12-30

自分が生まれる前の曲も結構好きだ。何となく懐かしい気がする。それはどうしてか考えると、父母が時々口ずさんでいたからだろうと思う。『さくら貝の歌』などはなぜ私が懐かしく感じるのか。父がよく口ずさんでいたからだろうと思う。

  美わしきさくら貝ひとつ
  去りゆけるきみに捧げん
  この貝は去年(こぞ)の浜辺に
  われひとりひろいし貝よ

これは、もともとは若くしてなくなった恋人を偲んで作ったある青年の短歌「わが恋の ごとく悲しや さくら貝 片ひらのみの さみしくありて」がもとになっているそうだ。恋人のことを思いながら砂浜を歩いて桜貝をひろい、さらにその思いは深まるという内容だ。

さらに、父は『あざみの歌』もよく口ずさんでいた。一番の歌詞だけ歌い、そのあと静かに何か考え事をしていた。何を考えていたのだろうか、父は。
父も母も青春時代は戦争の時代で楽しい思い出はなかったそうだが。

  山には山の愁いあり
  海には海のかなしみや
  ましてこころの花園に
  咲きしあざみの花ならば

YouTube で聴くと伊藤久男の歌声などが迫力がある。女性の声で聴いても聴き手の心に染み渡ってくる。一時期は日本の古い歌は陰気くさくてイヤだと思った時期もあったが、この頃は素直に美しさを認めることができる。

自分が生まれる前、幼児の頃にヒットした曲でも何となく懐かしい。それは父母経由で聴いたからであろうか。

ところで、最近自分の顔を鏡で見ると、晩年の父の顔に似てきたと思う。若い頃は自分の顔が父と似ているとは思ってみなかった。しかし、この頃、白髪まじりになり、瞼がはれぼったくなり、父と似てきた。自分の2人の息子たちも将来はこんな顔になっていくのか。そんなことを考えると、ちょっと不思議な感じがする。

photo credit: Giant thistle via photopin (license)
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