2016-01-24

昨日、本屋に行って老後破産に関する本を2冊ほど購入した。一つは朝日新聞経済部『ルポ老人地獄』(文春新書)であり、もう一つは藤田孝典『下流老人』(朝日新書)である。朝日新聞経済部の本は朝日新書から出版すればいいのにと思うのだが、それはさておき、昨日から読み始めている。

自分は母を昨年なくしており、それまでに様々なデイサービスや老人ホーム、病院に母を預けた経験から言うと、とても参考になった。そして、自分の近い将来にそのような施設にお世話になるのかと思うと真剣に読まざるを得ない。

「お泊まりディ」という存在があるそうだ。それは、ディサービスセンターでありながらお泊まりができるという点が特徴である。一般の特養などは競争率が高くてとうてい入れない。順番待ちであり、なかなか自分の番はこない。そんな人には無届けのホームが最後の行き着く先になるようだ。ただ、その環境は劣悪だ。

相部屋で男女混合で10名以上が寝る。そして、夜中は、ポータブルのトイレなどを使うので、臭気が満ちているとそうだ。食事の介添えをするが、早く食べるように急がすので、老人たちはよく噛まないで飲み込む。そのために、気管に食べ物が入って、誤嚥性肺炎になったりする。そのほか職員の過重負担で十分な介護が受けられない。

また、「ひもつきケアマネ」の存在も問題だ。ケアマネージャーはお年寄りの介護計画をいろいろと練る。しかし、どこかの企業に勤めているケアマネージャーはダメだ。自分の経験では、ケアマネージヤーは自分の企業の売り上げのことを第一に考える。この地に来てから紹介してもらったケアマネージャーが、開口一番トイレにてすりを取り付けろとか、風呂の介護用の桶などを入れろなどとそんなことばかり言うので驚いた。

ただ、ケアマネージアーがいないと介護計画は立てられないし、適切な施設も紹介してもらえない。とにかく半年ほどはこのケアマレージャーにお願いした。

その後は大阪の有料老人ホームを見つけてそこに入居させた。毎月25万ほど費用がかかったが、母の年金を主として、自分からは2,3万ほど加えて何とか支払った。有料老人ホームは非常に素晴らしくて、個室で係りの人もプロフェッショナルで、母はある程度は元気になった。自分もこのようなところで将来は入居したいと考えたほどだ。しかし、脳梗塞で身体がうまく動かなくなると、病院に入院することになり、母はその老人ホームを退去しなければならなかった。

金がすべてだ。金さえあれば、老後も居心地のいい生活ができる。十分な医療サービスも受けられる。

とにかく、独り身で財産のない人は老後の展望が全く見えない、と言っていいだろう。この本を読んでいると、解決策がないので気分が沈む。とにかく、病気にならないで、ぽっくりと逝きたいというのが自分の願いになる。