2016-02-07

今日はセンチメンタルな気持ちになってYouTubeで懐メロを聴いていた。いろいろと聴いてみたが、やはり自分のお気に入りは天地真理の曲である。彼女の曲の中で一番好きなのは『恋人たちの港』である。YouTubeで動画を見ると、彼女の可憐さ、清楚さ、上品さが目立つ。動画の中では彼女は永遠に朽ちることのない美しさを誇っている。

彼女の『若葉のささやき』も自分は好きだ。この曲は自分のある思い出と結びついている。ちょっと気になった女性と一緒に歩いた時のことを思い出す。彼女は今頃はどうしているのか。もうお孫さんがいるかもしれない。

『恋人たちの港』だが、横浜の山下公園が舞台になっているようだ。動画で見ていると山下公園が登場していた。2年ほど前に資料集めで横浜の町をぶらぶらしたことがある。山下公園には童謡『赤い靴』の銅像が建っていた。赤い靴を履いた女の子はアメリカに連れて行かれたが、さて幸せになったのだろうか。そんなことを考えながら、写真を撮った。沖に何隻か大型船が見えた。「あれはギリシアの船かな」と『恋人たちの港』の歌詞の一部を思い出して口ずさんだ。

動画の天地真理は笑顔でほほえみかけている。こんな美しい人に対しても、時の女神は残酷な仕打ちをする。どんなに美しい人でも、いつまでもその美しさを保つことはできないのだ。時の女神が人間に対して乾いた息を吹きかけると、たちまち人間の身体は朽ち果ててしまうのだ。

天地真理は私と同年配である。天地真理の曲を聴くと自分の若かった頃を思い出す。元気で、息切れすることなく、何時間も新宿やお茶の水を歩き回ることのできた、あの時代を思い出す。その頃の友人や好意を寄せていた女性たちもみんな時の女神には勝てないのだ。自分のふさふさとした髪はすべて真っ白になってしまった。自分も老いてしまった。そのことをつくづくと実感するのだ。

しかし、それでも音楽や歌詞は残っていく。色あせることなく残っていく。科学技術の進歩のおかげで今では動画の中では姿形が残っている。動画の中の天地真理は永遠に可憐で美しい。

人生は短いかもしれないが、美しい音楽や歌詞はいつまでも残っていく。でも、それは悲しいことかもしれない。人間は、いつまでも老いないでいて、代わりに音楽や歌詞が老いていけばいいのだが。ドリアン・グレイの肖像画のように。

114_01a