『週刊文春』は、このところ、芸能人の不倫から政治関連の記事に重点を変えているようだ。森友、加計、豊田議員そして稲田朋美防衛大臣へのバッシングである。7月26日号の見出しは、稲田防衛相に対してかなり手厳しい。

しかし、週刊文春はかみつき方がおかしい。「服装批判には、みんな私に嫉妬しているのよ、と開き直り」という記事だが、特に週刊誌の一面に載せるべき記事とも思えない。あるいは、「注意されると、いじめるんですう~、と涙で総理執務室へ」とまるで見たかのような書きぶりだ。

批判するのならば、稲田防衛大臣の安全保障に関する考えが甘いとか、知識が足りない、制服組を完全には掌握していないという風に彼女の仕事の働き具合に対して批判すればいいのだろうと思う。防衛大臣は日本の安全保障の責任者であるから、その点に対する認識や知識や態度の不備を責めればいいのでないか。そして、国家の安全保障という重大な地位に、このような人物を任命することは問題だと筋道を立てて非難すればいいのではないか。

個人に対しての攻撃ならば、明確に法律違反、違法行為があれば、それを指摘して攻撃すればいい。でも、違法行為がないのであれば、彼女の個人的な性癖に関しては黙っているのがいいだろう。

「服装批判に開き直りをしたので、稲田朋美防衛省の本性が見えてきた」、「その本性から判断すれば、防衛大臣には不適だ」という週刊文春の論理は破綻である。もっと、理路整然とした批判はないのか。

たしかに、防衛大臣には向いていないかもしれない。でも更迭されるとしたら、彼女の安全保障に関する問題意識が足りないという理由であるべきだ。

安倍首相の考えは推察するに、従来は防衛大臣は女性には不向きの職務と信じられていたが、女性でもきちんと仕事ができるということを証明したかったのだと思う。今回はその証明はうまく行かなかったが、今後も防衛大臣は男性向きの職務と考えずに、どしどし女性の大臣任命となってほしい。