スポンサーリンク

2015-10-14

塩崎雪生『氷の福音 《天地真理》をめぐりたる象徴学的研究』が到着する。それでを読み始める。かなり難解な本だ。筆者である塩崎氏は大変な博識の持ち主で次から次と連想が飛ぶ。三島由紀夫、聖書、グリム童話集、太平洋戦争、マリア・カラス、など次から次と言及される。その中で、私の知らなかった事実をいくつか教えてくれる。

天地真理の父親の名前が斎藤新太郎という名前で「関東軍」の兵士であった(p.59)。[これはどうも『週刊平凡』1972年2月17号,pp.31-2が資料のようだ。]  1941年から1944年までビルマやタイで戦いに従事した。1944年に所沢の飛行場にいて、1945年の原爆の投下直後の広島に行く。

1949年に父親の斎藤新太郎は日本橋にあったスクーター製造会社に勤務した。そこで同僚であった戸部きみと知り合う。結婚した二人は大宮に行き、新太郎氏はそこで中古車販売店の経営に乗り出す(p.66)。[出典は『女性自身』1973年6月9日号、p.31]

娘である真理が1951年11月5日に生まれる。しかし新太郎氏は酒に溺れ、また取引先の女事務員と浮気もする。新太郎氏は妻きみと1953年10月26日に離婚する。天地真理が2歳になる直前である(p.67)。

養育費のことで揉め事があったようだ。新太郎氏は養育費を払わなかった。そして、1982年6月に64歳で逝去する(p.70)。

このように、私の知らなかった出来事を詳しく教えてくれる。出典は週刊誌の記事なのだろうが、それらは貴重な資料である。ただ、本人にインタビューした週刊誌の記事だが、音楽事務所からの修正依頼もあったろうから、どの程度は事実を反映しているかは分からない。

たとえば、天地真理は甲状腺の異常で緊急入院したとあり、そのことから、塩崎氏は甲状腺異常という病気について長々と書いている。しかし、先般の『週刊新潮』の記事によれば、それは世間を欺くためであり、本当は情緒不安定になり、しばらく休養を取ったのである。(塩崎氏のこの本が出た時はまだそのことは知られていなかった。)

(補足:上記の点に関して筆者の塩崎氏より連絡があり、この本を執筆の時点で、彼女の休養の原因は甲状腺異常ではないことは彼女自身がすでに何回も発言しており、塩崎氏はその発言を承知の上でこの分析をしたそうである。2015-10-18記す)

このような事実を語ってくれる部分はなんとかついていけるが、同氏が自分語り、天地真理への極度の思い入れ、神格化を始める部分になってくると読むのに時間がかかるようになる。面白いのであるが、話がどう飛ぶのか見当がつかない点もある。

塩崎氏は天地真理のファンクラブの会員である。クラブが発足したのは2011年4月であるが、同氏は会員になった。会員証が送られてきて、会員番号は53番であったという。しばらくして、その数字がきわめて重要な意味を持つことに気づいたという。その番号はグリム童話集の白雪姫のコードナンバーにあることに気づいたという(p.36)。

グリム童話集には番号が振ってあるが、白雪姫の番号が自分の会員証の番号であることになんらかの因縁を感じたようである(p.36)。

また塩崎氏はある業者から写真を買う。かなりお気に入りの写真のようで、この本の冒頭に飾ってある。そしてそのキャプションに「拈華微笑(ねんげみしょう)する天地真理」とある。同氏の説明によると、仏陀が霊鷲山(りょうじゅせん)において華を拈(ひね)ることによって大勢の前で<真理>を示したところ、ほとんどの者は沈黙するばかりであったが、摩訶迦葉だけがそれを読み取って微笑したとある。その故事を紹介して、天地真理だけが拈華微笑していると塩崎氏は述べる(p.35)。確かに、いい写真であることは間違いない。彼女の笑顔が何か仏教の経典を思わせる点があると言われれば、そうなのかなとも思える。

image
拈華微笑(ねんげみしょう)する天地真理

なんだか、不思議な本である。塩崎氏が天地真理の大フアンであることは分かった。そして、ファンとしての賛辞の言葉を述べるのだが、塩崎氏の独自の言葉・論理で述べていく。その言葉・論理が多くの人に共有されるかかどうかは分からない。かなり難解な哲学のようだ。

最後に次のように同氏は述べる(p.310)。

 これは秘儀中の秘儀である。
<天>と<地>とのあいだに生きる人間が<真理>のあらわれであるならば、<天地真理>とは、孤独なすべての人間のおのおののことにほかならない。
 そして<再臨>すべき<イエス>とは、<天地真理>たる「あなた」自身、本書読者である「あなた」自身以外にはいないのだ。
 これこそが <氷の福音>なのである。

このことを述べるために、この311ページの本が存在するようだ。 天地真理がイエスであり、自分自身であり、孤独な人間の全てだそうだ。どう論理は結びつくのか。

とにかく、この本は読み始めたばかりだが、一応最後までは読むつもりだ。時間はかかるだろうが、随時報告をするつもりである。今日読んだ限りでは、難解な本という印象だが、真実を語ってくれる本なのかもしれない。

image