2016-02-10

YouTube で薬物中毒に関する動画をいくつか見てみた。その中で衝撃的だったのは、巨人の野村貴仁・元選手へのインタビューであった。目がとろんとしていて、言葉も明瞭でない。完全に「らりっている」という印象だった。

2006年に高知市内で覚せい剤取締法違反で逮捕されて、有罪判決をうける。オリックス在籍中に外国人選手に勧められて、それをきっかけにアンフェタミン系興奮剤「グリーニー」を使用するようになったそうだ。

動画の野村選手はまともにしゃべれなかった。画面の下にテロップが出て何を言っているか示してくれていたので、何とか内容は理解できた。身なりはだらしなくて、ホームレスのような格好であった。そして、頭にはヘルメットをかぶっていた。

天下の大投手が現在ではこんな格好かと、野球少年たちの夢を壊すような動画であった。それにしても恐ろしいのは、覚せい剤である。

一時的に興奮状態になり、その高揚感、充実感ゆえに習慣性となる。これらの薬が世にはじめて出たときは、その害毒や中毒性はあまり意識されないで、むしろ栄養剤の一種として薬局でも売られていたようだ。しかし、徐々にその中毒性が認識されるようになり、法律で禁止されるようになった。

野球選手がこれを服用すると、集中力がでて、投げるボールのスピードが増したり、ホームランが連打できるようになる。なるほど、それならば、この覚せい剤に手をだす選手が出てきてもおかしくない。

今回の清原和博の逮捕で野球界に深く根ざす黒い闇が露わになった気がする。暴力団と金と芸能界の結びつきは昔からよく指摘されて来たが、スポーツ界までも汚染されていたとは信じがたい。

一つの救いはダルクという施設の存在だ。ダルク(drug addiction rehabilitation centerの略、頭字をとってある)では、互いに励まし合いながら何とか覚せい剤から逃れようとしている。一人ではリハビリはできない。仲間と一緒になって、リハビリをすることで何とか回復することができる。この施設が日本には何十とあるそうだ。

麻薬中毒者を刑務所に入れることは逆効果だそうだ。刑務所では覚せい剤取締法違反で捕まった連中がごろごろしている。そこでは、互いに情報交換をして、どこの薬が安くて効果があるかなどを教え合っているそうだ。捕まった連中の頭の中は、早く出所して再び覚せい剤を使いたいという気持ちだけだと聞く。それほど、覚せい剤は中毒性があるものなかか。驚くほどだ。 

photo credit: Heroin seized in Now Zad district, Helmand province July 17, 2010 via photopin (license)
photo credit: Heroin seized in Now Zad district, Helmand province July 17, 2010 via photopin (license)