先日、東京に住んでいる息子から家内に電話があったそうだ。「彼女ができた」「今度、彼女と旅行する」という内容だ。家内はその電話を受けて、かなり腹が立ったようだ。それで、その怒り、失望、イライラを私にぶつけてくる。私は家内を落ち着かせなければならない。

「息子に恋人ができたなんて自然の成り行きだろう、何を怒っているのだ」「息子が大人への道を歩み始めたのだから、ここは暖かく見守るべきだ」という風に私がなだめる。

しかし、家内は「せっかく自分が長い間大事に育ててきたのに、突然、よその女に取られたみたいで腹が立つ」「息子はまだ若い、30歳近くになってから彼女ができるのならば認めようが、今は早すぎる。息子はまだ人を見る目が育っていないので、心配だ」という風に嘆く。あげくには涙ぐんだりする。

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このあたりの感覚は私には分かりかねる。私には娘がいないが、もしも娘がいたとする。そして、娘に彼氏ができたとしたら、自分はどう考えるか。うーん、そうだな。「悪い男にだまされないか」と心配になるが、その男性がいい人ならば、祝福してあげたいと思う。

しかし、家内は、息子の彼女がどんな人かまだ分からないうちから、頭ごなしに否定するのだ。息子の彼女と一回は会ってから、「恋人にふさわしい」とか、「ふさわしくない」とか判断するのならば分かるが、全然会っても見たこともないうちから反対するのは分からない。

このあたりは、男親と女親との感じ方の違いかもしれない。一般に女親は息子の恋人に対して、厳しい態度を取るとは聞いていたが、家内の例は極端なように感じる。まあ、私が家内をなだめすかして落ち着かせなければならないと思う。

心配なのは、あんまりうるさく言うと、息子が彼女との関係を秘密にしてしまうことだ。完全に秘密にされるのは困るのだ。情報は得ておきたい。どのように二人の中が進んでいるか親としてはある程度は知っておきたい。その意味でも、干渉はしないで、静かに見守るのが一番いいと思うのだ。