日本経済新聞の9月30日付けの記事に以下の報道があった。

教え子の院生殺害、元准教授に嘱託殺人適用 懲役3年6月判決

赤トンボ研究の教え子だった東邦大(千葉県)の大学院生、菅原みわさん(当時25)を殺害したとして、殺人罪に問われた福井大大学院元特命准教授、前園泰徳被告(44)に福井地裁(入子光臣裁判長)は29日、嘱託殺人罪を適用し、懲役3年6月(求刑懲役13年)の判決を言い渡した。

 入子裁判長は判決理由で「不倫関係にあった大学院生から依頼されて本人を殺害した」と判断し嘱託殺人罪が成立すると指摘。その上で「被害者との関係で疲労していたことなどを考慮しても、後先を深く考えない軽はずみな行為で、強い非難は免れない」と述べた。

 前園被告はこれまでの公判で、菅原さんとの交際を認め「『殺してください』と頼まれ、楽にしてあげたいと首を絞めた」と主張、弁護側は嘱託殺人罪適用を求めていた。検察側は殺人罪の論告で「殺害は交際が公になり、地位や家族を失うことを避けるためだった」と説明していた。

 判決によると、昨年3月12日、福井県勝山市の路上に止めた乗用車内で、殺害の嘱託を受けて菅原さんの首を絞め、窒息させて殺害した。〔共同〕

この記事では、嘱託殺人という弁護側の主張が認められて、殺人罪にしては軽い3年6か月という判決が出た。両者の間には何があったのか、そして家族の方々がどのような思いをされたのかは自分には分からない。

自分の所感としては、この元准教授は、出所してからどの様に生きていくのかということである。今が44歳であるから、3年6か月後には47歳か48歳になっている。比較的に若いのである。奥様はいらっしゃったと聞いたが、このような出来事があるとさすがに離婚になるだろうと思う。

数年後に出所してそれからどのように生計を立てていくのか。教育界に復帰は無理であろう。いくら研究業績が素晴らしくても名前が知れ渡ったので、この分野での再就職は難しい。もしも採用したいと思う学校があったとしても、学校自体のイメージダウンになるので、無理だろう。

塾などで働くとしても、大手は駄目だろう。この時代は応募者がいたらすぐにネットで検索する。すると、その名前が出てくる。自分で私塾を開くなどならば可能性はあるだろう。その場合も本名は使えない、名前を変えて私塾で生徒の募集をすれば可能かもしれない。

あまり過去を追求しない仕事もあるが、それは肉体労働が中心であり、元准教授のように、頭脳労働ばかりしていた人間は身体が動かない。そしてマイナンバー制度ができた。給料を税務署に報告しなければならないので、ますます過去と縁を切ることができなくなってくる。

出所後の生計の立て方をどうするのか心配をしてしまうのだ。ただ嘱託殺人であり凶悪殺人ではないので、情けを掛ける人が出てくるかもしれない。その人の世話になって、ひっそりと生きていくという選択もあるだろう。

出所後は年金はないだろうし、生活保護になるのかな、などどと考えてしまう。今の日本は、やり直しがきかない時代だ。一回失敗すると、ずっと沈んだままである。

一般に、犯罪を犯した人が刑務所から出てきたらそのように生活をするのか知りたい。清原のように有名人で金もあるならば、何とかなるだろうが、この人の場合はどうするのか。「展望が見えない」の一言だろう。

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