スポンサーリンク

自分は昔、高校の教員をしていたときに、女の生徒が苦情を言ってきた。それは、「クラスのある男の子が彼女の家に突然電話をかけてきて、彼女が電話と取ると『好きです!』と叫んで、電話を切った」という話だ。

彼女は薄気味悪いと苦情を言った。彼女は、その男の子とはほとんど話したことがないそうだ。友人でさえもない。何だか、不気味で嫌だ、気持ち悪いと述べていた。

男の子は地味な性格で何を考えているか分からないタイプであった。そんな子が、女の子の家に突然電話をかけて、そんなことを叫ぶ、のは確かに異様である。

ただ、自分はその男の子に同情する。地味なタイプで女性とも接したことがない。女性の心理など分かりようがない。しかし、高校生になると異性への関心は高まり、自分でその関心をどのように実現させたらいいのか分からない。そんなことで、思いつめて、突然電話をして告白をする、という自爆的なアプローチをしたのだ。

学校でも小学生のうちから、異性との上手な交際法、つまり、異性との付き合い方の訓練をすべきだと思う。好きな女の子ができたら、日常から積極的に話しかけて、だんだんと距離を縮めて、そしていい関係になったところで、告白をすべき、という恋愛の道順を教えるべきなのだ。

そんな基本的なルールを誰も、学校も教えてくれなかった。よって、自分で悩んで考え出した女性攻略法が、あまりにも女性の心理を知らなすぎる、野暮なアプローチとなったのである。

そんな男の子も、その後はいろいろと経験を積んで次第に上手になっていったのではないか。女性の口説き方も上手になり、野暮なアプローチから洗練されたアプローチへとレベルアップしたのではないか。


実は私も昔、自爆的なアプローチをして大恥をかいたことがあった。そのことを思い出して、その男の子を何だか応援したい気がするのだ。その男の子に自分の昔を見出してしまうのだ。

苦情を申し立てた女の生徒には、自分は「確かにアプローチが野暮であるが、それは経験不足から仕方がない面がある」というような話をしたのだ。女の子は「よく分からない」と首をかしげていた。

その女の子は可愛らしい子で、次から次と男子生徒からのアプローチがあった。あれから何十年も経ったが、彼女は合計で相当数の男性からアプローチを受けたのではと思う。最近の男性のアプローチは洗練されたものばかりなので、かえって新鮮味がないのではないか。そんな時、彼女は高校時代の自爆アプローチを思い出して、懐かしく新鮮に感じるのではないか。

と、自分は、ふと想像してみる。

087_01