柳沢きみお『青き炎』を読んでみた。漫画配信サービスの「シーモア」の読み放題の会員となって、柳沢きみお『青き炎』を読んでみた。これは、同じ作家の『Dino』とも似ている。ともに、美男で、高身長で、頭がよくて、女性にもてる若者が主人公だ。

『青き炎』では、高校生が登場する。多くの女生徒から羨望の目で見られ、しかしただ肉体の鍛錬と勉強に明け暮れる。そして、大病院の娘との仲良くなるが、その父から別れるように言われると、大金を条件に、簡単にその娘を捨ててしまう。その娘は捨てられたことで、ほとんど廃人同様になってしまうが、このあたりは男の都合のいい願望が入っているように思う。自分に対して女は惚れ抜いてほしい。そして、何年も廃人になるくらいに自分のことを好いていてほしかったという願望というかうぬぼれがある。でも、現実は、男に振られても、数週間はがっくりしていても、すぐに新しい恋をして、振った男の子とはすぐに忘れるのではないか。現実の女性はもっとしたたかだと思う。

この男性は頭もよくて慶応大学に入学する。そして、テニス部にはいり活躍する。そして、金と女を得てゆく。このあたりは男の願望である。現実は、詰まらない平凡な自分、女性とは無縁な自分、そんな劣等感が、からの漫画を読むことで、空想に浸って慰められる。また、柳沢きみおは色々な知識があって、漫画の中でそれを披露している。クラッシックカー、ボクシング、ラグビー、酒などは、作品の中で登場人物に語らせながら、作者自身が楽しんでいる。読者も知識を得たような気になるのだ。

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柳沢きみおの作品の中には、突然に終わる作品がある。「ええ?なぜ?」という感じで終わるものがある。この『青き炎』や『Dino』がそうである。上手な幕引きができれば作品としての魅力は上がるのだろうが。作者は筋書きに詰まってしまった、突然投げ出した、という印象を与えるのだ。この点はもったいないと思う。