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女性の履くパンプスだが、最近は女性の間で不評のようだ。つまり、履きにくくて足を痛めるという理由のようだ。ハイヒールなどになると、これはもっと実用的ではない。背を高く、足を綺麗に見せることが目的となる。スカートと似合う。であるから、ジーパンやパンツスタイルでパンプスやハイヒールを履く女性はほとんどいない。
靴屋さんで靴を選んでいた。そしたらある女性がいた。彼女はヒールを選んでいて、どのように見えるか鏡に映して購入を考えているようだった。男の場合は、履いている靴がどのように見えるかは、女性ほどは意識しない。足元を鏡に映して、角度を色々と変えて買うかどうか決めかねるということは少ない。要は、履きやすいかどうか、長時間の歩行に耐えるかどうかという視点から選ぶのである。
息子の働いている会社は堅い仕事をしている。そこでは、服装として、男性はスーツにネクタイ着用と明記されている。女性はスカートにパンプスを履くようにと、これまた明記されている。
パンプスだと履きにくいことは理解できる。いつの間にやら社会的な慣習から決まってしまったのだ。女性の社会進出は最近のことである。女性が外に出るのは、要は着飾るためであった。その場合は、上品さ、優雅さ、そして自分の社会的階層の高さを強調することになる。
履き物も実用性ではなくて、装飾、見栄えが最優先される。実用性をさほど意識しなくていい階層出身者であることを強調するのだ。その時代でも、労働者階級の女性方はいた。その女性たちは実用第一の服装をしていた。貧しい階層出身ならば、体を動かすことは多くて、足元のふらつく履物は不便であった。
上流階層出身の女性は、そのような女性との差別化をする必要があった。そして、女性のファッションは上流階層の女性から始まって、女性一般に広まる。その逆はありえない。
中国の女性の纏足などはまさしく非実用性の最たるものであった。でも、非実用的なことをできるという意味で、富の象徴ともなったのであった。
ただ、これからは女性の社会進出が進む。やはり運動がしやすい靴が好まれる。パンプスだとかこの時代には、上品さ、気品さ、非実用的なことにも関心を向けることのできる豊かさの象徴であったが、このことが次第に変わりつつある。
パンプスやハイヒールは廃れるであろう。でも、デートの時のように、女性らしさをアピールするときには、生き残るかもしれないが、実用の場面では廃れるであろう。