『Nのために』を視聴した。U-Nextで見た。まあまあ面白かった。冒頭の場面、ヒロインの父親(光石研が演じる)が帰ってきてから家族3人を押し出すところは衝撃的であった。ドラマとしては、衝撃的なスタートであり、視聴者に「続けて見たい、この先どうなるのか」という興味を引かせる方法で上手な手法だと思った。ただ、 光石研は温厚そうでいい父親というイメージが強いので、そんな人が突然の様変わりを見て、ぎょっとした。

また、ヒロインの母親は 山本未來が演じているが、夫に捨てられてから徐々に狂気にとりつかれてゆく。怖い。ぎょとする。演技は上手だと思わざるを得ない。 この山本未來は、年頭の『義母と娘のブルース』スペシャル版に弁護士として登場する。イメージはがらりと違う。まあ、役者は何でも与えられた役割を演じなくてはいけないのだから、当然といえばそうなのだが、本当に演技が上手で感心する。

さて、ヒロインの榮倉奈々だが、良くいろいろなドラマに登場する。私の記憶にあるのは、『メイちゃんの執事』での主人公、『テセウスの船』『僕らは奇跡でできている』での好演である。今風の美人という分けではないが、身体はすらっとして、愛嬌のある顔をして、好感度の高い女優さんである。ただ、演技は上手なのか棒演技なのかは私には分からない。やや単調な演技か。

 窪田正孝、小出恵介、賀来賢人の3人が榮倉奈々を支える脇役として活躍する。ドラマでの名前には、それぞれがイニシャルにNを含み、それぞれに大切に思う人のために行動する。そして愛の印として秘密を共有する。なかなか考え抜かれたストーリーだ。

でも、最後の場面、徳井義実と小西真奈美の二人が亡くなる場面だが、よく分からない。必然性がない。そして、外側からドアチェーンがかけられるなどというのは不自然きわまりない設定だ。そんなことをしたら、通りがかりの人がふざけてカギをかけてしまったら中の人は外に出ることはできないではないか。外側からカギでロックできるというカギならば、そのようなことはあるかもしれないが、などと考えてしまった。さらには、なぜ賀来賢人がドアチェーンをかけるーその必然性が分からない。

とにかく、いろいろと不自然な場面もあったが、かなり面白いストーリーであった。ドラマだから、不自然なそんな細かいことは気にせずに楽しめばいいのだが、このあたりは実話と比べると現実性が薄れてしまう。仕方ないことではあるが。