私が小学生の頃は、ラジオで音楽を聴くのが家族の楽しみであった。その頃の歌手はビジュアルよりも歌のうまさが一番のポイントであった。有名な歌手でもどんな顔をしているのか、時々見る雑誌などで拝見するくらいだった。

小学校の高学年になって、白黒テレビがようやく普及してきた頃で、我が家でも購入できた。その頃の歌手は美空ひばりとか舟木一夫とか神戸一郎、そして藤島一郎などがいた。その頃の歌謡曲は、哀愁を帯びたメロディーで、歌詞も作詞家が丁寧に作り、五七調か、七五調で語呂も良くて、歌いやすかった。

歌手もそんなにビジュアルは要求されていなかったと思う。もちろん一般人よりは顔もスタイルも良かったが、現代のように圧倒的な差は必要とされていなかった。現代は長髪で手足の長い人が楽器を持って演奏している。

現代の音楽は聴くと困ってしまう。分からない。ロックなのか、何か西洋の音楽を取り入れて、歌詞も日本語なのか英語なのか、日本語の従来の高低アクセントから強弱アクセントになり、とにかく音楽の変化が過渡期のようだ。

まあ、これらの曲が飽きられたら、平安時代の雅楽、江戸時代の端唄、小唄などが復活することもあり得るだろう。これらの歌が格好いいともてはやされることもあるだろう。でも、音楽、特に流行りの音楽の変化は著しい。ただ、人間は最も感受性の強い時期、つまり少年少女の時代に聴いた曲を老年になるまで好む傾向があるようだ。今の若い人は現代の騒がしい曲を老年になっても懐かしいと思うのだろうか。