あらゆる欲望がなくなってきた。
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年をとると、たしかに欲望は減ってくる。食欲だが、あまり美食はしたくない。白米が一膳、白菜の漬物、味噌汁が一杯で、十分だ。夏になると、冷やしそば、まあ、ざるそば、だけでいいと思う。

K2-Kaji / Pixabay

洋服など関心はない。こんな醜い姿になった老人がおしゃれをしても物笑いのタネになると思うと何も買わないで同じ服を繰り返し着ている。

性欲だが、若い頃は煩悩に苦しんだが今は楽になった。若くて美しい女性を見るといいな、とは思うが、ただそれだけだ。自分は枯れるのは早かったので、その意味では楽をしてきた。バイアグラか、自分が使ったら心臓麻痺で直ちにあの世行きになりそうだ。

旅行もしたくない。若い頃は海外旅行が楽しみだったが、今は関心はない。国内で一泊旅行などはいいかなとは思う。でも列車で何回も乗り換えての旅はしたくない。せいぜい車で数時間のところだな。でも、行かなくても構わない。女房孝行をしなければと思うので、時々は近場に旅はしている。

特に会いたい人がいるわけでもない。父母が存命の時は、親孝行をしなければと思って、よく実家に行ったものだが、今は実家に誰もいない。友人たちとも疎遠になったが、でもそれでいいと思う。会っても昔話はいいのだが、特に楽しかった思い出もない。むしろ、恥ずかしい思い出ばかりなので、過去の人たちとは会いたくもない。

家内とも話すことも少なくなってきた。子供が小さい時は子供の話が共通の話題だった。でも、子供たちが独立したら話題に乏しくなった。これから共通の将来の目標を見つけることがいいのだが、老年期に入ると将来に関してどんな話をしたらいいのか。

このところの楽しみは、ソフアに横になり探偵小説を読むことだ。長時間読むと目が痛くなるので、1、2時間ほど本を眺めている。小さな文字は目が痛くなるので、文庫本などは読まない。

探偵小説を読んでいても、犯人探しとかトリックに興味が行くというよりも、小説の中の自然描写とか老境に入る人々の日常生活などが描かれた箇所があると、そんな部分を繰り返し読んでみる。

自分はまだ嘱託の仕事をしている。忙しい仕事ではないが、それでも自分の年齢ではこなすのにやっとである。これが自分と世間との唯一の接点であり、その接点が切れたら、自分のあらゆる欲望はなくなりそうな気がする。