2016-07-01
『週刊文春』の7月7日号には、冒頭に「舛添ブーメラン自民党を直撃、安倍首相自ら口説いたトンデモ候補青山繁晴、450万円私的流用で共同通信を退社の過去」とある。
自民党から出馬の青山繁晴候補が共同通信の記者だった時代に450万円を私的流用した過去があるので、この候補者はけしからん人物であり、投票すべきではない、という趣旨の記事である。
今は、ネットの時代であり、あっという間に『週刊文春』の主張、それに対する青山繁晴氏の反論の内容を知ることができてしまう。ちょっとネットを見るだけで、だいたいの概要は分かってしまう。
今回は文春の負けではと思ってしまう。不倫騒動ならば、しているか否かはわかりやすい。しかし、今回の青山繁晴氏のポイントは、ペルー大使館での人質事件の取材に関する経費が認められるかどうかという点である。
文春側は、メモ帳に記した数字を領収書として出してきた、こんなずさんな紙を領収書として提出するのはおかしい。青山氏側の反論は、ホテル内の要人との連絡をボーイに頼む時に渡したお金であり正式の領収書が取れる性格の物ではない。
文春側は、青山氏は乗馬クラブに入って乗馬を楽しんでいた。その経費を請求している。青山氏は、そこでさまざまな貴重な情報を得るために要人のあつまる乗馬クラブに入会したと主張する。
文春側は、青山氏は、外交の専門家と自認しているが、先日のテレビでは、tax haven と tax heaven を取り違えていた、よって外交の専門家ではない、と主張する。これに対して、青山氏からの反論はない。(まあ、私自身も実は tax heaven だと思っていた。)外交の専門家でもときには何か思い違いがあるだろう。思い違いを連発するならば、その素質に疑問符が付くが、今のところは、思い違いは一つだけなので、同氏が外交の専門家でないと主張するのは早計ではないか。
現在のところ、文春の主張は無理があるのではと思う。とにかく、南米のテロの現場で領収書の出せない世界である。すべてがクリアーな明朗会計はできないのである。また、青山氏がテロの現場に取材しながら、のんびりと乗馬を楽しんだというよりも、特ダネを得ようと乗馬クラブに潜り込んだという説明の方が説得力がある。特ダネを得ようと必死の青山氏は、前渡金として渡してもらった共同通信社の資金を自分なりに工夫しながら情報の入手に頑張った。そんな風に感じるのだ。
しかし、文春は通常は第二弾を用意していることが多い。相手にまず言わせて、それから第二弾で再度たたく、という戦法である。まだ、いろいろとネタを隠しているのかもしれない。しかし、このままでは文春の主張は弱いという印象だ。