『週刊文春』の2月9日号だが、「Gackt 愛人が首吊り自殺未遂」というタイトルが載っていた。しかし、タイトルをよく読むと「愛人」の前に「元」という字が、本当に小さく印字されている。「元愛人」なのだ。

そもそもこの場合、愛人という表現はふさわしいのだろうか。Goo国語辞典で調べると以下のようになっている。

◇「愛人」は、かつては「恋人」の漢語的表現として同義に用いたが、現在では多く配偶者以外の恋愛関係にある異性をいい、一般に肉体関係があることを意味する。「情婦」「情夫」の婉曲的な言葉として使われる傾向もある。

Gacktは結婚していないのだから、その女性との関係は「恋人」関係であったのだ。不倫関係を匂わす「愛人」という表現はよくないだろう。しかも、すでに別れているのである。さらに、その女性の自殺未遂の原因はGacktの次に付き合った男性とのトラブルにあるのだ。つまり、女性の自殺未遂の原因はGacktとは無関係なのである。

週刊誌は売れなくてはいけない。編集者はタイトルのつけ方は工夫をするところだ。この場合は、わざと読者の誤認を招くような表現をする。普通の人は、「Gackt と不倫関係にあった女性が、Gacktとのトラブルで自殺未遂」と読んでしまう。

週刊誌ほど極端ではないが、新聞も似たような手法をとる。マスコミは読者の求めているような記事を提供するのであるから、我々読者も悪いのであるが、とにかくマスコミの提供する情報には気をつけなければと思う。

話は変わるが、アメリカの大統領選は、マスコミがトランプに対して非常に厳しい態度をとった。アメリカの各新聞社は自社がどの候補を応援するかはっきりと態度を表明する。数字は正確ではないが、52社ほどがヒラリー支持を明らかにしたのに対して、トランプ支持はわずか2社だけだった。

マスコミはトランプの醜聞を暴き立てるのに必死だった。彼の会社が法人税を払っていなかったとか、セクハラを行ったとか、ヒラリーへの援護射撃が凄まじい。マスコミの口調は、ヒラリーの圧勝の様子だった。

トランプの勝利の理由の一つとして、トランプがTwitter を積極的に活用したことが挙げられる。それが功を奏したのである。マスコミを経由しないで、直接にアメリカの大衆に語りかける、という手法をとったのだ。

昔は、マスコミを通してしか政治の実態を知ることができなかった。今はインターネットを介して、情報を得ることができる。YouTube などは現場の状況を生々しく伝えてくれる。

駅の売店では、昔は新聞が山積みになって売られていたが、今はほんのちょっぴり置いてあるだけだ。電車の中も昔は新聞を広げている人がたくさんいたが、今はスマホをいじっている人ばかりだ。

でも、インターネットでも、偽情報を流す人がいる。無責任なデマが流れる。いずれにせよ、我らは目を大きく開いて、騙されないように身構えながら、新聞、週刊誌、インターネット情報に接しなければならない。