自分が節約生活を意識するようになったのは定年退職が近づいた頃からだ。10年ぐらい前だ。そんな時に、本屋で『年収100万円の豊かな節約術』(山崎寿人)という本を見つけた。

そのころは、今ほど節約とか断捨離とかミニマリトという言葉は流行っていなかった。今では、本屋に行けば、節約術に関する本が山ほどある。いわば、そのような流行の先駆けと言ってもいい本である。

昨日から、再読している。何回読んでも感心することがある。まず、食費が一日500円で過ごすという点がすごい。私の家内が親戚の看病で半年ほど遠地にいたことがあった。その間は、私は自炊しなければならなかった。その時は、1日を何とか1,000円で過ごそうとした。定年退職後は嘱託の仕事を見つけたのでまだ働いていた。そんな頃は、疲れて帰ると自炊する気にはなれないので、外食も多くて、1日平均で1,200円ぐらいかけていたかな。

しかし、だんだんと慣れてきて1日1,000円の食費で過ごせるようになってきた。自分の意識の中では、何食分という風に換算して考えるようになった。例えば、何かの折に3万円ほど臨時収入が入ると、これで30日分の食費代に該当するのだなと考えるようになった。

山崎氏の本には教えられることが多い。それの1つはポイントサイトの活用である。サイトを上手に利用してアンケートなどに答えてポイントを稼ぐのである。ただ、職を持っていると、ポイントサイトを利用するだけの時間はない。これは完全退職してからの自分の課題だなと考えている。

あと、同氏は美味しい料理に関心がある。ベランダにハーブを自家栽培したり、様々な調味料を揃えたりして、プロ顔負けの料理を作っているようだ。ただ、これは自分には真似はできない。まあ、結婚しているので、家内の仕事を奪うことになる。ただ、同氏の本を読んでから、家内の料理を見てみると、かなり潤沢に食材を利用している。そんなことがわかって来た。

同氏の生活に危惧をかんじるとしたら、やはり健康面である。1960年生まれというから、今年は59歳になる年齢か。するとそろそろ大病のやってくる時期である。入院するようなことになれば、保証人が必要である。やはり独り住まいは苦しい。

勝手気ままに自分で自由にお金を使えるのは嬉しい。子供の教育費がなくて、家族への食費などがなくなれば、どれくらい家計は楽になるか。確かに、結婚したがらない男が増えているのは理解できる。女性側も自分である程度稼げれば結婚などバカバカしいと思うのだろう。

ただ、それぞれが長い老後がある。病院に行って、よぼよぼの老人が車椅子で運ばれているのをみると、(車椅子を押しているのは、息子か娘の場合が多い)、やはり妻や子供は必要だと思う。自分の甥や姪に病院まで付き添ってくれ、車椅子を押してくれと頼むことはできない。

『年収100万円の豊かな節約術』という本の最大の問題点は、老齢に入ると年収100万円では済まないことだ。ヘルパーを雇ったり、タクシーで病院がよいをしたり、施設に入ったりするには、もっと大きなお金が必要となる。この本では、70歳ぐらいまの生活の指針を示しているが、それ以降の生活には何ら指針を示してくれていない。