ドラマ『白夜行』はとても感動的であった。20年ぐらい前に小説を読んだことがあった。結構面白かった。それで続きの『幻夜』と一緒に夢中になって読んだことを思い出した。

U-nextに加入したので、有名なこのドラマ版を見た。感想は、素晴らしい!である。幼い二人が出会い、淡い恋心を互いに抱く。その気持ちが10年以上続いて、そしてその頃の忌まわしい出来事を隠すために次々と悪事に手を染めてゆく。小学生の女の子は福田麻由子が演じているが、演技はとても巧妙であった。子役でもこんな名演技ができるなんてと感動だ。この世界の苦しみを全身に背負って生きてゆこうとする。そして男の子には罪を着せないようにしようとする態度は健気だ。(福田麻由子は、その後に『Q10』で脇役で登場するが、その時は顔が変わっていて雰囲気は子役時とは異なっていた。)

成人してからの二人は綾瀬はるかと山田孝之が演じる。二人とも演技巧者だ。色々なブログで見ると号泣したとする名画面がたくさんあった、と書いてある。私自身はこの年齢(70代)なので、涙腺がうるむことはあったが、号泣まではいかなかった。でも、老人ながら感動するところはたくさんあった。

人を殺してゆくのだが、時にはお世話になった人であったりする。でも、それらには必然性があり、何か私欲からの殺人ではない。隠すために仕方なしに殺人をすることが分かる。

名文句がたくさんあった。これを考えると「脚本家とはすごいなあ」と素直に驚いてしまう。普段からメモを持って、名文句が浮かんだら記しておくのか。脚本家の言葉のセンスにたまげてしまう。

大企業の御曹司が『風と共に去りぬ」の原書を綾瀬はるかに差し上げる場面があった。その場面を見て、昔、自分も『風と共に去りぬ』の原書を好ましく思っていた女性に差し上げたことを思い出した。50年ぐらい前の話だ。その女性は今はどうしているのか、なんとなく懐かしい気がした。

大人の責任は子供に素晴らしい子供時代を作ってあげることだと思う。犯罪者とは要は小さい時に伸びる方向が強引に曲げられてしまった人間だと思う。それは貧乏とか性犯罪とか、色々な原因があろう。でもそんな逆境にも負けないで伸びる人もいる。それはそれでスゴイことだと思う。