私が10代の頃、吉永小百合と和泉雅子はそれぞれが美しさを競い合っていた。吉永小百合は歌も上手で、私は吉永小百合と三田明が二人で歌った『若い二人の心斎橋』などはお気に入りだった。和泉雅子も『二人の銀座』を山内賢と一緒にデユエットで歌った。

共に美男美女の取り合わせで、自分にはテレビに映るこれらの人々が華やかで眩しかった。あんな風に素晴らしい恋愛をいつか経験できたらと願ったものだった。

今、二人は何歳か、吉永小百合は1945年生まれであるので73歳である。和泉雅子は1947年生まれであるので、71歳である。

先日、Twitter で二人が一緒にいる写真が出回った。ご覧のように吉永小百合はほとんど年齢を感じさせない美しさを保っているのに、和泉雅子は年相応の姿になっている。

これらの写真を見た人々の間では、その対比に驚きの声が上がっている。和泉雅子は女優から突然冒険家になり、北極と南極に関心を示して、日本人女性としては初めて北極点に到達している。何回も極地に行こうとした執念は驚くものがある。

しかも、極地はオゾン層が薄いので、強い紫外線を受けて、顔にシミが沢山できる。彼女には、冒険と引き換えに顔に強い紫外線の跡が残ったのだ。

先日、私は美は5000億円の価値があると述べたが、和泉雅子のような生き方も立派だと思う。冒険家として、何の打算もなくて、ただただ極地の魅力に取り憑かれて、膨大な資金と、そして自分自身の美貌をも犠牲にした。この美貌を失った点で、気の毒がる人がいるかもしれない。

しかし、それはそれでいい生き方だと思う。彼女はなんども失敗の後、遂に1989年に北極点に徒歩で到達する。彼女が42歳の時である。

人生の盛りの30代、40代に、好きなこと、情熱を傾ける対象を見つけることができ、それに全力で取り組んだ。彼女は「人生に悔いはなし」と思っているはずだ。