今ニュースで話題になっているのは「福田淳一事務次官」のセクハラ問題である。『週刊新潮』の4月12号は、事務次官が女性記者と会食をして、その時に、非常に品のない発言をした。その内容をテープに録音して週刊誌経由で暴露したのである。

それを受けて財務省も動き出した。毎日新聞の4月16日付のWebニュースは以下のように報じている。

財務省は16日、週刊新潮で女性記者へのセクハラ発言疑惑が報じられた福田淳一事務次官に対する聞き取り調査の結果を発表した。福田氏は「事実と異なる」と疑惑を否定し、「名誉毀損(きそん)にあたる」として新潮社を提訴すると表明。次官を続投する考えも示した。財務省は弁護士に委託して福田氏への調査を続ける方針で、同省記者クラブに加盟する報道機関の女性記者に調査への協力を求めた。

あっさりと辞任するかと思ったら、続投すると述べている。そして新潮社を名誉毀損で訴えるそうである。財務省は女性記者に調査への協力を求めている。

福田氏の作戦としては次のようなことだろう、と推察する。

  • (1)この記事を徹底的に否定する。酒を飲んだ上であるから覚えていないと主張する。
  • (2)女性記者に調査の協力を求めることは、女性記者の身元が明らかになることである。でも、女性記者は名前を明らかにしないのではないか。名前を明らかにした途端、今のネットの時代、彼女の過去について何から何まで調べられる。過去がクリーンな人は誰もいない。どんな小さなことでも、面白おかしく書きたてられて、女性記者にとっても打撃となる。
  • (3)女性記者は酒を飲むプライベートな場面でのやりとりを録音する人物と評判になり、今後の仕事に差し障りが出てくる。女性記者は名乗りをあげないのではないか。
  • (4)女性記者が名乗りを上げない以上、自分は覚えていない、と福田氏はしらを切れる。調べる方も、両方から話を聞かないことには対処しようもないであろう。

福田氏の作戦は女性記者が名乗りをあげるかどうかにかかっている。福田次官は、相手は名乗りを上げないだろうと読んでいる。相手が分からない限りは、この話は迷宮入りになるのだ。

自分が女性記者だとしたら、自分の将来を考えて色々と苦慮することだ。福田次官の首が自分の未来と刺し違えになるほど重要かどうか考えるだろう。今後、相手から復讐を受けるのではないか、と恐れているのではないか。福田次官が失職したら、もう次官は何も失うものはない。失うものがない人ほど強いものはない。全力を投じて、この女性記者を抹殺にかかるのではないか。

政府側としては、このスキャンダルを引っ張ると好都合なことがある。世間の注目がそちらにゆけば、森友問題への関心が薄れることになる。森友の問題にケリをつけたい政府としては、目くらましとして使えると考えているのではないか。