先週だったか、元横綱、輪島関の逝去が報道された。70歳である。まだまだ若いのだが、逝去とのこと、ご冥福をお祈りしたい。

石川県の七尾市の出身者である。私も七尾市生まれであるので、とりわけ愛着を感じていた。郷里に列車で帰るときには、窓からは、「郷土の英雄、輪島関」と刻まれてあった石碑が見えたことを覚えている。

相撲取りにしては、でっぷりと太った体型ではなくて、筋肉質の体であった。一時期は角界の人気を独り占めにした。しかし、奥さんの自殺未遂、年寄名跡「花籠」を借金の担保にしたことなど、スキャンダルが起こり、いつしか角界から去っていった。石碑もいつの間にやら撤去されたようだ。

写真週刊誌『フライディ』で、愛人関係にあった水商売の女性の写真を見たことがあった。路上で歩いている姿を撮影したのだ。いかにも気が強そうで、解説には、「その女性は、奥さんは親方の気持ちを掴んでいない」と言っていた、というようなことが書かれていた。これは、フライディの記者が実際にインタビューして書いたのか、それとも想像で書いたのか分からなかった。でも、こんな女性と関係を持つ輪島の身辺や、奥さんの深い悩みがうかがい知れる記事であった。

その後はかなり年齢差のある若い女性と再婚をする。プロレスラーや評論家として活躍するが、喉頭癌と肺癌のために、今年の10月8日に逝去した。

ところで、昔、私の母は七尾市にある老人ホームでしばらくお世話になっていた。ある程度は元気なお年寄りが住んでいた。そこでは、個室が与えられ、食事は集団で過ごすが、各自のプライバシーは守られる。

母の部屋の横の部屋に輪島関のお母様が住んでいた。輪島関のお母様は小柄な方で、輪島関は巨漢なのと対照的であった。そこに輪島関はよくお母様を見舞っていたそうだ。私も自分の母をよく見舞っていたが、輪島関を見かけることはなかった。

とにかく、郷土の英雄である輪島関のご冥福を祈りたい。