2016-06-29
このところ、青春歌謡曲をまとめたCDを、高速道路を運転しながら聞いている。このCDは、1960年代の曲が多い。自分が10代の頃で、感受性の豊かな時期である。多くの曲が懐かしくて自分の若かりし頃を想起して、なんとなくしんみりしてしまう。そのCDの第一曲目は安達明の『女学生』という曲である。私のような同世代の人間にはとても懐かしい曲だ。
薄紫の藤棚の下で歌ったアベマリア澄んだ瞳が美しく何故か心に残ってる君は優しい君は優しい女学生
セラー服に朝霧が流れていった丘の道赤いカバーのラケットをそっと小脇に抱えてた君は明るい君は明るい女学生
歌詞はとても美しい。うすむらさきの(7)ふじだなの(5)したでうたった(7)あべまりあ(5)すんだひとみが(7)うつくしく(5)なぜかこころろに(7)のこってる(5)となっている。75調の歌詞は日本語の持つ伝統的な美しさを徹底的に引き出したものだ。でも、アベマリアとか、ラケットなどのハイカラな西洋の事物も取り入れてある。両者がうまくミックスして豊かな香りをかもしだしている。
メロディーも素晴らしい。でも、自分の息子たちはこの曲は好まない。もっとリズム感があって、ビートがきいていて、踊り出したくなるような曲を好むのだ。ライブ会場で手を振ったり腰を振ったりするような気持ちにならない曲は自分たちの気持ちを代弁する曲とは認めない、と息子たちは言っている。それはそれで仕方がないだろう。あと20年もしたら、今のヒット曲とはまったく様変わりした曲がヒットするだろう。歌謡曲には、はやり廃れがあるのだ。
ところで、安達明の最初の曲である『潮風を待つ少女』もいい曲だ。声がちょっとかすれているようにも思うが。
最近知ったことだが、安達明は 2011年5月20日に62歳でなくなったそうだ。私とほぼ同世代である。今日が5月29日であるから、10日ほど前が命日であったのだ。ご冥福を祈りたい。お墓には『女学生』の冒頭の歌詞が刻まれているそうだ。そう、この歌詞は墓碑銘にもなる美しい歌詞なのだ。
なお、息子さんがブログでお父様の逝去を告げていらっしゃった。埼玉県でレストランを経営されているそうだ。機会があれば、そのレストランとお墓を訪ねてみたい気もする。