芸能人でもスキャンダルから復活した人も多い。不倫を乗り越えて芸能界の大御所になった北野たけしのような例がある。ベッキーなどもそろそろ復活をしている。

しかし、こんどの渡部建の場合は、不倫の場所が障がい者用の共同トイレというのではイメージが悪すぎる。彼はグルメ評論家である。おいしいレストランを紹介することで金を稼いできたと言っていいだろう。それが、トイレとイメージが結びつくのでは、食欲もなくなってしまう。

不倫の相手との場所が、一流ホテルならば、ちょっとゴージャスな感じがする。あるいは、高級車の中とか、山小屋というのならば、まだロマンティックなイメージがある。でも、公衆トイレでの情事ならば、一番、食欲がわかない場所での情事である。

渡部建はこれからどうするのであるのか。もうテレビ界での顔出しは難しいのでは。すると、実業家として何かの経営に乗り出すのか。でも、今まで経営など一切タッチしていなかった中年男がこれから、実業界に乗り出すのも難しいのだろう。下手をすると全財産をなくすかもしれない。

華やかな芸能人生活を送ってきた人間が、急に堅気の生活や仕事ができるわけではあるまい。こんな風に何かがきっかけで転落した男の話を聞くと、自分の身の上に投影して心配してしまう。

自分自身は、転落する危険なことは、5回ほどあった。自分にとっては奇跡ともいうべきだが、何とか仕事を失わずに、給料も絶えることなく、いままで何とか無事に乗り越えてこれた。

自分がこれまで一番恐ろしかったことは、失職することであった。仕事では大きな失敗をしないように、冒険をせずに、守りの姿勢で仕事をしてきた。次の仕事に移るときにも、内定して間違いないことが分かるまでは、職場の上司には、ぎりぎりまでは退職の話はしなかった。私生活では少々冒険もしたが、仕事では、慎重に、冒険をせずに、生きてきた。たいして面白い人生ではなかったが、おかげさまで大失敗はなかった。

渡部建の一生を見るときに、前半戦は好調であった。ところで、その中間点で落とし穴にはまり込んでしまった。後半戦をどう戦うのか、どう稼ぎ出してゆくのか、頭をかかえていることだと思う。その点では、私は自分自身を投影して、同情するのである。