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『大豆田とわ子と三人の元夫』というドラマが面白い。松たか子演じる大豆田とわ子は3度の離婚歴がある。しかし、その元夫である3人とはいまでも良好な関係を続けている。3人から気をかけてもらっているという、現実ではありえない話だが、ファンタジーとして面白い。3人の元夫は、 松田龍平、角田晃広、 岡田将生がそれぞれ演じている。そして、その3人との関係を続けていながら、新しい恋の相手として、オダギリジョーと仲良くなる。つまり、この話は、中年の女性が4名の魅力的な中年男たちから言い寄られて、ちやほやされるという話である。
視聴者は中年女性が多いのだろうと思う。松たか子に自分自身を投影して楽しんでいるのだろう。
自分が感心したのは、脚本家の坂元裕二の力量であった。4名の男たちの性格のそれぞれ個性が浮かび上がるように、上手な台詞を見つけている。そして、それぞれの会話がエスプリが効いて飽きない。こんな風な台詞がかかえる人は大変な才能だと思ってしまう。思い出すのは、同じ脚本家が書いた『カルテット』や『スイッチ』である。これらはやはり台詞が面白い。特に『カルテット』の第1話で、高橋一生が唐揚げにレモンをかけるかどうかで大議論をしたのが笑えた。
この逆バージョンは『百万円の女たち』である。野田洋次郎が演じる主人公のもとに、いつの間にか5名の女が同居する。福島リラ、松井玲奈、我妻三輪子、武田玲奈、新木優子の5名である。このなかでも、福島リラは裸で登場して、ドラマとしては奇怪な印象を与える。また、彼女の顔も逆三角形であり、このドラマが不気味な面もあることを示している。結局、この中の3名が殺されるのであり、サスペンスドラマである。このドラマの目的は何だろう。人間愛を謳った作品ではない。ユーモアあふれて笑える作品でもない。ただ、着想は目新しいので、その点で視聴する人がいるかもしれない。