2016-01-25

老後破算に関する本を読んでいる。問題は認知症の高齢者をどうするのか、という点が大きな問題であることが分かった。知人の父親は認知症を患って、外出してふといなくなる。警察から連絡が来て、いままでに引き取りに行ったことが何十回もあったという。その父が亡くなったときはホッとしたと言っていた。

『老人地獄』(p.82)によれば、国内の高齢者の約15%が認知症と推定されるという。興奮や徘徊の症状が見られるとどこの介護施設も受け入れを渋るという。そうだろうな。しかし、自宅に置いていくこともできない。仕事を持っている外出すると、何を仕出かすか分からないのである。自分がある日仕事から帰ると、母はアパートの前にパジャマ姿で出ていて、「とうさんを待っているのじゃ」と言っていって驚いたことがあった。父はもう10年も前に亡くなったのだが。

この本には富山に住むタロウさん(81歳)の奥さんであるフミさん(80歳)の認知症が激しくなり、どこの施設からも断られて困っている姿が描かれている。どこの施設に入れるか分からなかったようだ。

老健も選択肢の一つであるが、老健は要は治療が目的なのであるから、病気が治ると退去を求められる。自分の母親の時はいろいろと連絡を取ったが、大抵は数週間で退去を求められた。ある病院で3週間ほど入院したが、個室で差額ベット代を含めて、なんやかんやで50万円近いお金を要求された。ただ、母が入院してた時は誰かが見ていてくれると安心感はあった。それまでは、母のことが気になり、四六時中安心できなかった。

もう、日本は豊かな国ではない。豊かであるためには、面倒を見てくれる若い人がたくさんいることが必要だ。子供が一人かいない夫婦、結婚をしない人々、それは家族がいても人間は孤独だという人もいるだろう。とにかく、老齢となり、病院や施設に入退院するようになると、子供がいないと大変なことになる。

どうしたらいいのか。とにかく1円でもいいから多く蓄えておく。万が一のための予行演習を行っておく。万が一の時にお願いできる若い人を見つけて何とか縁を切らないようにすることだ。

photo credit: Old Tallinn House via photopin (license)
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