2016-02-21
少年Aが公式サイトを開設したそうである。しかし、今では、すでに閉じたと聞いたのだが、検索するとちゃんとヒットした。まだあるようだ。「存在の耐えられない透明さ」というサイトである。URLはhttp://www.sonzainotaerarenaitomeisa.biz/である。
そのサイトはブログとギャラリーに分かれている。ブログでは少年は読んだ本の感想を書いている。それに対してコメントを書いている人がいる。コメントでは意外と真面目なコメントが多い(悪口や批判的なコメントは掲載していないのか?)。それなりに、死とは何かなどについて意見交換がある。
ギャラリーはかなり異常だ。絵はほとんどがナメクジをデフォルメしている絵が続く。ナメクジは少年Aの美学に関係するようだ。精神分析の専門家の解釈はどうか。これらのギャラリーを見ていて、ふと元AKBの光宗薫の絵画を思い出した。彼女の描いた絵画も病んだ絵であった。彼女も何か心の闇を抱えているのか。
YouTubeでも元少年のサイトを編集したもの、また少年のセルフポートレイトが紹介されている。編集者たちの解釈が入っているが、少年のゆがんだ内面が見られる動画が多い。
『絶歌』には、少年の犯罪に対する謝罪の言葉がないことがよく指摘されている。この本では少年の自分の美学の披露という形のようだ(自分はまだ読んでいないのだが、ネットでの情報による)。おそらく、少年の心の中には、善や悪というような視点はないのであろう。あるのは自分の存在とは何かという問いかけだけなのであろう。とにかく、少年はこのような生き方しかできないのであろう。自分の中の異常性をじっと見つめている。その異常性を何かで表現しないと少年は存在できないのであろう。
その表現とは殺人とか動物の殺害、生き物の解体などを通して自分を表現する。ムンクの「叫び」を思い出した。ムンクも自分の中の異常性を表現することでかろうじて自我を保持した。
この元少年Aが犯罪に再び手を染めるのかどうかはわからない。ただ、何とか自我を保持できて、異常者であるが、犯罪までには至らない異常者として生きていけるとしたら、このような絵画や手記を通して自己を表現することで、何とかかろうじて踏みとどまれるのではないか。