ふと、本屋で『定年後』という本を見つけた。新書本であり、手軽に読める本である。面白そうなので購入した。以下、その感想を述べる。

私は一時期は老後破産に関する本を読みあさったことがあった。しかし、山を売却したり、金を借りることができて、一息ついている状態である。さらに、現在の自分は一応は年金をもらっていて同時に嘱託の仕事もしている。現時点では、何とか生計は立っている。その意味では、老後破産は怖いとは思うが、すぐに自分に関係する本ではない。もう少し自分の今かかえている問題に直面した本ということになると、この『定年後』という本がよいようなので、この本を読んでみたのだ。

いろいろなメッセージがある本だ。一つは「早くから定年後のことを意識して行動せよ」と述べている。もう一つは、「自分が幼少の頃からやりたかったことをやってみるチャンスが定年後にある」とも述べている。それから「他人と関われ」とも言っている。

著者の楠木新氏は、京大卒で保険会社の人事・労務関係の仕事を経験してきた人である。楠木氏は自分の働いた経験を生かして、また多くの人にインタビューして、定年後をどのように過ごしてきたか調べて、まとめ上げて執筆した本である。定年後の有意義な過ごし方を提言した本である。

多くの退職者が、何をしたら良いのか迷っていると思う。家にいれば、奥さんから嫌がられて、家に居場所がない。それでは、外に出れば、せいぜい、図書館、本屋、大型ショッピングモールをうろつくだけである。どうしたら良いのか、ただただ迷うだけであろう。

著者はそうならないためにも、定年前からの準備を提言している。「定年前から仕事プラスアルファのことを見つけなさい」と述べている。退職後に、芸術活動を始めた人、地域でのボランティアをしている人、大学院に通う人、いろいろな例を挙げて、とにかく、ひとりで閉じこもりにならないようにとアドバイスしている。

定年前から助走をして、うまくジャンプを遂げた人たちの事例があるので、我々は、それお見習う(あるいは、真似をする)のがいいだろう。

自分が得た教訓はとにかく60歳、あるいは65歳の定年の日を見据えて、積極的に人生後半をどうするか準備を始めることである。私自身も幾つか目標があり、それに向かって今走っている。けっして、やることがなくて困っているシニアではない。

定年前の人、50代の人が読まれると一番有益な本ではと思う。