私が中学生の頃、今から50年ほど前だが、クラス名簿が印刷されて配布された。どこに住んでいるか、住所が分かる。さらには保護者の名前が書いてある。保護者の欄が女性の名前だと、シングルマザーの家庭であることがすぐに分かった。

大学卒業後に企業に就職活動するときは、応募用紙に親の職業などを書く欄があった。面談などの時も親のことをよく聞かれた。

今は、個人情報の管理がうるさくなっている。今の職場では同僚の人の住所は知らない。お陰で年賀状を書くこともないし、出産や結婚なのでもお祝いを送ることもない。付き合いが希薄になってきたのだが、それはそれでいいと思う。

40年ほど前、当時勤務していた会社では、同僚の人の母親が亡くなったとのことで、自宅まで押しかけて(当時は葬儀は自宅で行われることが多かった)、ご焼香をしたのであった。

隣の部署で働く人でも、その人の親が亡くなったとのことで、何千円か包んだ記憶がある。面倒くさいことが当然と行われていた。

会社の人は互いに家族のようになっていて、忘年会、運動会、職場旅行などが盛んに行われていた。休日出勤や残業も会社への忠誠心の証明であり、同僚との家族同様の結束の確認であった。

同僚とはよく酒を飲んだものであった。それは楽しかった。でも、上司との酒はあまり楽しくなかった。よくおごってもらったが、叱られることも多くて、酒を心からは楽しめなかった。

今の若い人たちは、現在とはかなり行動様式が異なる。SNSが普及した今では、個人の活動はすぐに分かってしまう。それゆえに、住所などは必死で隠さないと、簡単にストーカーされてしまう。

人間の本音は、仲のいい人とは、つるんでいたいが、面倒くさい人とは遠ざかっていたい。私が若い頃はなかなかできなかった人間関係の強弱の調整が可能な時代だ。その意味ではいい時代になってきている。

これからは、家族同士も関係は希薄になってゆくかな?

背を向けた人間関係