この数日 Hulu で邦画を見てばかりいた。とにかく、飽きないで視聴している。小津安二郎監督の『早春』を見た。終戦後の日本、私が生まれた頃の日本の情景で、とても懐かしく見ることができた。とにかく、テンポがスローでいい。最近の映画みたいにテンポが早すぎて何が何だか分からないうちに終了することはない。あと、気づいた点を箇条書きすると以下のようになる。

(1)みんな、結構タバコを吸う。妊婦でもタバコを吸う。タバコの危険性が認識されていない時代だったのだ。麻雀やトランプなども人気のようだ。
(2)道路が舗装されていない。それもななかな情緒があるなと思った。
(3)送別会で人々が『ホタルの光』を斉唱する。街で『野ばら』が聞こえたりする。ロシア民謡なども聞こえていたのだろう。
(4)セリフがゆっくりと棒読みみたいに聞こえることがある。
(5)接吻する場面は後ろ姿だけ示して、今みたいにはっきりとは示さない。
(6)奥さんが旦那の服を畳んだり甲斐甲斐しく世話をしている。今は、共稼ぎの家が増えたのでそんな余裕はないだろう。

今は、『東京暮色』を半分ぐらい見た。アキコという女が妊娠したのだが、健ちゃんという恋人(大学生)が逃げ回っている。いつの時代も男は責任を取ることから逃げまわろうとする。あるが、それなりにまとまったあるが、それなりにまとまった内容である。

『小さいおうち』も良かった。黒木華と松たか子の二人の女優の名演が目立つ。最後もうまくまとまっている。これはいい映画であった。政治的色彩が強いと非難するレビューもあったが、私はそうは思わない。いつまでも余韻が残る映画であった。元となった小説(中島京子作)も読んでみたい。