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今日は本屋さんで、『捏造の科学者』(毎日新聞科学環境部、須田桃子著)(文藝春秋社)という本を見つけたので購入してみた。先日、小保方さんの『あの日』という本を読んで面白かったので、その主張とは反対の立場から書かれた本を探していた。この『捏造の科学者』は、まさしく小保方さんを捏造の科学者として糾弾する本であり、この騒動の全体像を知るには有益な本であると思われたので読み始めたのである。
現在までに4分の1ほど読んだ。小保方さんたちが『ネイチャー』誌に投稿した論文であるが、いろいろと不備があったようだ。とにかく、テラトーマの画像が彼女が昔書いた博士論文で使った画像と同じであること、さらには、実験のプロセスを示す部分の一部がドイツで発表された論文のコピペであることなどである。
また、彼女の博士論文の20%ほどが、アメリカの衛生研究所(NIH)のウェブサイトに掲載されていた内容からの丸写しであったそうだ。普通は引用したならば、引用先を示すが、それがなされていないということだ。この点で小保方さんの研究者としての未熟さ、論文の書き方の基本を心得ていないことが分かる。
このように、小保方さんの論文の不備を色々と書いてある。しかし、自分が不思議に思うのは、捏造ならば、すぐにばれるのにどうしてそんなことをしたのかという点である。すぐにわかるような捏造をしたのか、学者として自殺行為とも思えるようなことをどうしてしたのか。常識的にそんなことをする訳がないのではという気もする。つまり、捏造したならば、なぜこんなすぐにばれるような捏造をしたのかという理由がない点である。
あるいは、こんな大事になるとは予想できずに、『ネーチャ』誌に掲載してもらい、研究者としてポイントを稼ごうとしたのか。うーん、全く分からない。しかも、大先生方も参加していたことであり、チェック機能は働かなかったのか。てなことで、4分1ほどを読んだだけだが、かえって謎は深まったようにも感じる。推理小説を読んでいるような気がする。
なお、面白いと思ったのは、STAP研究の原点が、バカンティ教授(ハーバード大学)が2001年に発表した論文にあるとのことだ。この本のp. 99には、次のような述べている。
哺乳類の体のおそらくすべての組織には、数日間酸素や栄養の供給が途絶えたり、あるいは85度Cの高温で煮沸したり、逆にマイナス86度Cで凍らせたりするなどの過酷な条件にさらしても生き残るごくちいさな細胞が休眠状態で存在して、それらは採取した元の組織の細胞に分化する能力がある。
以上のような内容の論文とのことだ。これは非常に示唆に富んだ論文に思える。つまり、生物が生きていくときに様々な過酷な条件に面する。その時に、すべてを初期化して再生しようとする機能があることは生物の種の存続という視点からも、あり得るように思えるからだ。
とにかく、残りの部分だが、時間をかけてできるだけ理解しながら読んでみたいと思う。