自分は苦労して這い上がった人に共鳴する。名もなく、財産もなく、学歴もなく、幼少の頃は恵まれない家庭環境で、そんな中から、自分の努力で、そして運に恵まれて這い上がった人に共感する。
松本清張の小説にはそのような人がたくさん登場する。典型的な姿は『砂の器』の主人公である。巡礼の親に付き添って歩いていた少年が、和賀英良という名前の人物になりすまし、新進気鋭の音楽家として成功していく。しかし、嘘に固められた経歴はいつかは露わになり、かれは破滅していく。
ことしの3月頃に、ショーンKの話が話題になった。自分も、ショーンKと『砂の器』という記事をブログに投稿した。このように這い上がろうとする人に自分は共感をいだく。しかし、多くの場合は、這い上がっても幸せにはなれないようだ。
「幸せとは無縁」とは不思議だ。どうしてだろうか。最近は自分のブログで、村田英雄と三橋美智也のことを論じてみた。二人とも貧しい環境の中から才能と運に恵まれて、歌謡界に君臨した。しかし、美食と酒と女におぼれてか健康を失ってしまった。要は、大金の使い方が慣れないので、それに振り回されたようだ。あるいは貧しい時代に得られなかった物を得てしまうと、その上手な使い方が分からないのだ。
女性でも、急に有名で大金を掴むと行動が乱れてしまう。藤圭子がその例になる。彼女は最期は自死を選んでしまう。
今自分が注目しているのは、加藤紗里である。狩野英孝との間が噂されて急に有名になった人である。彼女のオフィシャルブログに自分はよく訪問して読んでいた。狩野英孝と恋人と発表されて一躍時の人になったときに、彼女は自分のブログを毎日更新していた。それまでは、月に一回ぐらいしか更新していなかったのに、突然毎日更新するようになった。運を何とか掴もうとしているのだ。何とか話題を見つけては、この世界、浮上しようとする彼女の気持ちが痛々しいほど見えるのだ。
ところで、新大統領トランプの現在の妻メラニアだが、彼女はスロベニアに生まれて、ミラノやパリでモデルとして働いて、20年前にニューヨークに来た。そして、2008年に市民権を得たのだ。彼女は、5つの言語(スロベニア語、セルビア語、英語、ドイツ語、フランス語)を話すそうである。
彼女の英語のスピーチを聴いた。訛りはあるが、上手に英語を話す。ただ、スピーチ自体はヒラリーのスピーチと比べるとぎこちない。
彼女はスロベニアに生まれ、父は自動車販売業を営んでいた。家は質素なコンクリートのアパートに住んでいたという。そんな彼女は大富豪のトランプと出会い、そして次期大統領の夫人となる。信じられないような急上昇の人生だ。
男も女も必死で這い上がろうとする。女性は美貌という武器があるとかなり有利になるということだ。運と財産を掴んだら、あとはそれを上手に離さないようにしなければならない。