前川喜平前文部次官の記者会見の様子をYouTube の動画で見てみた。(すぐにリンクが切れそうなので、ここではその動画は貼り付けない)

穏やかな顔のいかにも知性の固まりのような人であり、話す言葉もしっかりしている。麻布高校から東京大学法学部へ進学したエリート中のエリートである。頭はいいのだろうと思う。

ただ、例の出会い系バーに行った理由の説明だが、やはり人々は納得しないのではと思う。前川氏が言った内容は次のようであった。

自分はテレビでそのようなところで働いている女性がいることを知った。それで、その実体を知りたいと思い、どこにいるか調べて、そのようなところに出向き、そこで働いている女性と話をした。そして時々は女性を連れ出して話を聞いてみた。その後にお小遣いを渡した。自分としては、女性の貧困が子どもの貧困と結びついていることが分かり、この調査は意義あるものであった。

このあたり、レポーターも大人であるので、あんまり詳しく突っ込まなかった。お互いに本当のことは何であるのかは知っているが、特にそこは軽く流そうという態度だ。

でも、一般の人は軽くは流さないのではと思う。前川氏は、この点は、「文部官僚のトップとしてあるまじきことであった、年甲斐もないことをしたと思って反省している」と言えばよかったのではと思う。弁護士ともこのあたりの説明はどうするか予行演習をしただろうが、「貧困の実態調査」という説明では無理がありすぎる。

記者たちの関心は加計学園の認可にさいして、不正があったのかどうか知りたかったのであり、元次官の個人的な出来事などはあんまり知りたくはない。ただ、前川氏のこの説明だと、出会い系バーの話が一件落着にならないで、さらに突っ込んでくる人を招き寄せることになってしまう。

正直に「年甲斐もなくみっともないことをした、ごめんなさい」と言えば、済んだ話が、格好をつけたために、これでややこしくなった。前川氏の個人的な話が、学園の認可の話よりも関心を呼んでしまいそうだ。

前川氏は、暴露すると言うことで、勇気ある行動に出たと思うが、払うべき代償も大きくなりそうだ。自分のような人間から見ると、権力の中央にはどのような力学が働くのか、闇の闇でまったく分からない。今後の発展を見守りたい。