再度この本を手にしてみる。
ホリエモンと落合陽一が書いた『10年後の仕事図鑑』(SBクリエイティブ)を再度、ゆっくりと読んでみた。
この本は先日、飛ばし読みをしたのだが、やはりゆっくりと読むだけの価値のある本のようなので、今日はノートを取りながらゆっくりと読んでみた。自分はシニアで年金をすでにもらった生活をしていて、いまさら10年後の仕事の心配をする必要はない、と言えばないのだが、でも面白かった。
この本を読んだ後、「自分が30代ぐらいならば」と切に思った。だが、次に思ったのは、「60代の自分にも十分に応用可能な本ではないか」ということだ。この本を読んで自分の励みにしてみたいと考えた。
世の中と自分の変化
世の中の動きが凄みを増してきた、風向きが変わってきた、と自分が感じたのは、1995年の Windows 95の発売とインターネットの登場である。それ以降は、あれよあれよという間にインターネット時代になってしまった。さらには、スマホの登場もあって、この20年の間に、人類の歴史上数百年に値する変貌が生じたと感じてしまう。
自分に起こった行動変化は、新聞の購読はストップしてしまい、すべてネットからニューズを得るようになった。レンタルビデオはもう借りる必要もなくなった。手紙はもうメールで済ましてしまう。この勢いは、ますます加速度が付いて、一体全体どうなるのか分からない、というのが実際的な話であろう。
新しい仕事となくなる仕事
そんな時代は、なくなる仕事があれば、新たに生まれる仕事もある。本のタイトル『10年後の仕事図鑑』は、扇情的であり、これからの就職をどうしようか迷っている若者にはアピールする本である。中年で転職しようか迷っている人にも訴える力がある。
自分のような、年金生活のシニアには関係ない、と思っていたが、いざ、読んでみると、自分のような年金生活者も心引かれる箇所がたくさんある。それらを次に紹介して、簡単な所感を付け加えてみたい。
その内容
「現代は好きなことでお金が稼げる時代だ」(p.18)という啓示的な文がある。生産力の上昇のおかげで人間はもう昔のように汗水垂らして稼がなくても大丈夫な時代に達したということを語っている。
大企業に入れば、安定した仕事が確保されて、そして年功序列によって昇進してゆき、という考えは、幻想であり、高度経済成長期のわずかな期間に存在した昔話であると述べている。(p.66) これはそうだ。今では、団塊の世代が現実の厳しさに目覚めたところである。
ホリエモンは最近は予防医療ビジネスを提唱している。それは彼の刑務所経験から来ている。服役中に歯のない老人の高齢者介護に携わったことで、早い段階で生活習慣の改善ができていれば、この場合は、歯磨きと定期的に歯石を除去することで歯がなくなることが防げたという事実に気づいたそうだ。(p.136)それもあって、ホリエモンは予防医療ビジネスも彼のレパートリーの一つになっている。
持ち家信仰のおかしさも突いている。昔は持ち家を持つことが庶民の夢であったが、いまや負の遺産になってしまった、と述べている。(p.164)これなども自分に照らし合わせてみれば、よく分かる。自宅と実家、老朽化しており、固定資産税と補修費で苦しんでいる自分にとって、本音は手放したい。でも、世間体もあり、保持しているというのが実情だ。このあたり、ホリエモンの言葉に素直にうなずいてしまう。
中国のアリババが導入している信用度を数値で産出するサービスである。中国では、万引きをしたりするとこの信用度が下がってくる。信用度のスコアが高いと、消費者金融で審査がすぐ通ったり、部屋を借りるときに、敷金がなしになるということだ。これは面白い。日本でもこのサービスが導入されればと思う。(p.154)
中国では、キャッシュレスが進行している。露天商でもQRコードでの決算を使うし、ホームレスもこの仕組みで物乞いをしているそうだ。(p.161) こんな話を聞くと昔はアメリカが時代の先端を切っていたが、いまでは中国が新しいシステムを次から次と導入して、人々は中国を見習え、となるかもしれない。
新しい生き方
ホリエモンは「遊ぶ」「働く」「学ぶ」を同化させた三位一体の生活を送っているという。彼にとっては、人生におけるすべてのアクションが、遊びとも、仕事とも、勉強とも解釈できるのだ。(p.220)
自分もこれからの人生、上手い具合に年金をもらっているので、これを基盤にして、シニアにも可能な「遊ぶ」「働く」「学ぶ」を同化した三位一体の生活を試みてみたい。