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2016-02-18

須田桃子著『捏造の科学者たち』をようやく読み終えた。最後の箇所で、笹井芳樹CDB副センター長が自殺したことが書かれている。マスコミに追いかけまわされて、また理研内での責任の取り方などに苦慮して疲れ果てたのだろうと思われる。

これだけ、大騒ぎになれば、通常の神経の持ち主ならば「まいってしまう」のは容易に予想できる。笹井氏が残した遺書は3つあり、一つは小保方さんあてである。そして、そこに書かれてあった遺書には次のような内容であった。(p.347)

小保方氏あての遺書は一枚。「限界を超えた。精神的に疲れました」と断り、「小保方さんをおいてすべてを投げ出すことを許してください」と謝罪の言葉で始まっていた。「こんな形になって本当に残念。小保方さんの責任ではない」と小保方氏を擁護する記述もあった。末尾には、「絶対にSTAP細胞を再現してください」と検証実験への期待を込め、「実験を成功させ、新しい人生を歩んでくさい」と激励する言葉で締めくられていたという。

この遺書から判断されるのは、笹井氏はSTAP細胞の存在を信じており、それをきちんと応援できない自分を責めているようにも思える。

ここが一番の謎である。このように多くの疑義が生まれてきても、相変わらず、STAP細胞の存在を信じている。死に面した人が嘘をつくわけもないので、これが本当の気持ちの発露だと思う。笹井氏ほどの力量のある人がなぜこんなことを書いたのか。

そんなことで、この事件には、捏造の科学者たちが大きなインチキをおこなった、とは単純には言えない面があるように思える。それが不思議である。どなたか力量のある人がこのあたりの経緯を分かりやすく説明してくれる本を書いてくれることを願う。

しかし、科学者たちは自分の研究に集中して、自分たちの業績を伸ばすことに全力投球だと思う。1週間でも1日でも惜しい。しのぎを競い合うライバルたちからは負けたくない。名声と豊富な研究費とポジションを得ることが第一目標であろう。こんな後ろ向きの検証作業などはしたくはないだろう。

とにかく、謎が深まった。『あの日』と『捏造の科学者』の2冊はそれぞれ読み応えがあったが、ますます分からなくなったというのが自分の率直な感想である。

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