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三橋美智也の『古城』という曲は大好きだ。私の父が好んでいた曲だ。自分がこの曲を好きなのは父の影響だろう。
この古城はどこか色々と説がある。一つは能登半島にある七尾城である。10年ほど前か、私は登ったことがある。他の説は新潟県にある春日山城ではないかとの説がある。こちらも30年ぐらい前に訪問したことがあった。
この二つとも訪れたことがあったのだが、これらの城が『古城』という曲のモデルである可能性があるという話は知らなかったので、自分には平凡な田舎の景色しか覚えていない。
さて、三橋美智也であるが、高音のハリのある独特の声が印象的である。父は繰り返し歌っていた。よほど、父は好きだったのだろう、風呂の中でも自分の部屋でも歌っていた。さらに、『リンゴ村から』『哀愁列車』なども、父が酒がはいると機嫌よく歌っていたことを思い出す。
『古城』の中の歌詞で、「崩れしままの石垣に 哀れを誘う病葉や」という言葉がある。この「病葉」(わくらば)とは何か不思議に思っていた。辞書では「病気や虫のために変色した葉。特に、夏の青葉の中にまじって、赤や黄色に色づいている葉」とある。そんなことで、古城=病葉=三橋美智也 と3つが自分の中では互いに結びついていた。
昭和30年代に、ときどき、雑誌などで見る姿は痩せた貧相な姿であったが、昭和40年以降に、テレビが普及して中年になった三橋美智也の姿が現れると、随分と恰幅がよくなったなという印象を受けた。お金がはいると誰でも太るのだな、という感想をもったのだ。彼は、この頃から糖尿病で苦しんでいたのである。
1966年に最初の妻と離婚したのである。金が入ってくるようになると苦労を共にした古女房を捨てるという成功した芸能人のパターンが見られる。話は変わるが、今度の大統領のトランプも離婚するたびに若い女性を選んでいく。
三橋美智也は酒と女と事業の失敗で苦労したが、トランプは、女癖は悪そうだが、酒もタバコもやらないそうだ。トランプの方が節制の仕方を知っていることになる。
三橋美智也はゴルフの帰りに心臓発作で倒れて、そのまま意識が戻らずに数か月後に多臓器不全でなくなる。苦労してたたき上げの人は金が入るようになると無茶をするようになる。若い頃にできなかった時間を取り戻そうとする。その結果は、自分の唯一の財産である健康と美声を潰してしまうのだ。
1930-1996年の人生であるから、わたしの現在の年で物故したのである。自分は現在は年金と嘱託の仕事に頼って、お金の使い方も千円単位で気にかけている。千円以上のものを買うときは随分と迷ってしまう。そんな風な貧乏生活の方が健康にはいいのでは、と思う。(これは負けず嫌いで言っているのかもしれないが)